葦田不見(Ashida Mizu)

詩をかきます。言葉をつむぎます。エッセイとか日記とか。

アイ(ワナ)ビー

 

詩です。

 

 

ーーーーー

アイビー / 葦田不見 

 

 

私の心臓を蔦が破った。

 

左心房の揺りかごでエイトビートを子守唄に眠っていたのだ。蔦はずっとこの時を待っていたのだ。
一度破ってしまえばもうなんてことはない。身体中にその無数の腕をのばす。

 

(錠剤)を求めて伸びる蔦。何の(錠剤)だっていい。
心臓を破ったら蔦は、次に血管に絡みついて全身へと伸びていく。
そのさまはまるで快感物質が駆け巡るよう。

 

いつか左腕一面に咲いた蔦の花、今は枯れている彼女の花言葉は「死んでも離れない。」

 

寄生虫のように。死体に湧く蛆虫のように。

 

そう、絡みついて腕が動かない。この腕は彼女のものなのだ。

 

 

この厄介な蔦を断つ方法は知っている。

蔦は血管に絡みついているんだもの。

芽だって親指と人差し指の腹で可愛がってやればいい。

 

ああ、芽を摘んで蔦を切り払ってやりたい。

ジャングルの奥地へ進む開拓者さながらに。

 

でも切れない。切りたいのにナイフを握っているのに切り払えない。この懊悩。

芽を断ったら鬼が来るの。私は知っている。

 

繁みから今か今かと時期を伺う両の目を。

(お前にはあの血走った赤真珠が見えないのか。)

 

鬼が怖い。また私を連れ去る。


次は戻れない。