葦田不見(Ashida Mizu)

詩をかきます。言葉をつむぎます。エッセイとか日記とか。

カラストサカナ

私は川を歩いていた。
サンダルの裏で石とヌメりを感じ、指で水の手触りを確かめながら、冷たさをなぞる。

土が集まって盛り上がり、干上がっている部分。そこには鴉がいて、その足で死んだ魚は押さえつけられている。魚の躯は鴉と同じくらいあって、まだそれほど腐ってはいない。鱗も光を携えている。


彼らに近づいてみた。
当然、鴉は自分の身ほどもある魚を携えて飛ぶことはできず、逃げていく。
ばさん ぱたぱた ばさんばさん……

魚を覗いてみたが、目が合わない。
そもそも合わせるだけの、目がない。
視線が合わないのではなく、目がない。
そこには目がない。

きっと鱗は硬いのだ、嘴で剥ぐことはできず、身をついばめない。
一番柔らかいところ、目。
そこからほじくりかえしてあの鴉は喰おうとしていたのだ。


刺身を食べていては気づかない。
そのかたさ、やわらかさ。
自然のあまりにも自然すぎるその自然さ。


私は魚の目があったところに、その目に吸い込まれそうになった。