葦田不見(Ashida Mizu)

詩をかきます。言葉をつむぎます。エッセイとか日記とか。

ニューオニオン

新玉ねぎをいただいた。

いつか私を、剥いても剥いても芯に辿りつけない玉ねぎ、と形容した友人を思い出す。

「芯を求めて剥いているうちに、気づけばすべてなくなってしまう。」


土を手で拭って、汚れた部分だけ剥いて、生のままいただく。

ひとくち目は上のとんがった部分。

みずみずしくて、夏の空を雲と一緒におろし金で擦ったような甘み。

舌のザラつきで初夏をすりおろす。

そこに芯は見えない。



ふたくち、みくち…………

輪のように拡がる模様も、齧った歯がなぞりあげる。

やはりそこに芯はない。



剥かずに齧れば、剥かずに抉れば芯があるかとも思ったけど、そう簡単にはいかないわよね。


最後のひとくちはちょびっと辛くて、泣いてしまった。



残ったのは、ね。