葦田不見(Ashida Mizu)

詩をかきます。言葉をつむぎます。エッセイとか日記とか。

タチバナ

言葉はわたしたちの世界であり、思考そのものであるという点で、安い言葉に安んじる人は安い人間と言ってもいいのかもしれない。ここでは私が好かない人たちをただ安いと言ったけれども、それはあくまでも私の価値判断で、その人たちからしたら私も安く見え…

アイ(ワナ)ビー

詩です。 ーーーーー アイビー / 葦田不見 私の心臓を蔦が破った。 左心房の揺りかごでエイトビートを子守唄に眠っていたのだ。蔦はずっとこの時を待っていたのだ。一度破ってしまえばもうなんてことはない。身体中にその無数の腕をのばす。 (錠剤)を求め…

サンカクスイ

皆で隣人の首に手をあてる。手首、手、首、手首、手、首、 手首、手、首、手首、手、首、 手首、手、首、手首、手、首、仲間はずれはいません。手首、手、首、手首、手、首、 手首、手、首、手首、手、首、 手首、手、首、手首、手、首、一周回りました。 誰…

コイヲイタス

忘れられぬ、ある夜の話。恋を致すと書いて、コイタスといいます。 ーーーーーーー 「致恋」 孤独者と孤独者が互いの傷を慰めあう夜であった。他者との破れ目、その凹凸を舐め、撫で、「何故?」って。 二匹の狼は、雨の中濡れながら雨避けを探した。一匹目…

カラストサカナ

私は川を歩いていた。 サンダルの裏で石とヌメりを感じ、指で水の手触りを確かめながら、冷たさをなぞる。土が集まって盛り上がり、干上がっている部分。そこには鴉がいて、その足で死んだ魚は押さえつけられている。魚の躯は鴉と同じくらいあって、まだそれ…

ニューオニオン

新玉ねぎをいただいた。いつか私を、剥いても剥いても芯に辿りつけない玉ねぎ、と形容した友人を思い出す。「芯を求めて剥いているうちに、気づけばすべてなくなってしまう。」 土を手で拭って、汚れた部分だけ剥いて、生のままいただく。ひとくち目は上のと…

アイス(冬味)

雪虫が腕にとまってくれました。正式名称は分かりませんが、そんなものは必要ありません。 止まっているのを眺めるのは初めてのことで、非常に美しい虫でございました。足にもちゃんと雪のような毛が生えているのです。 雪の降らない季節、場所でも雪を擬似…

アブラキシ

油木市に住みながら、私は本日初めて油木市に来ました。 町を味わうには徒歩の速度が最もよい。わけのわからないところに刺さっている、合理のかけらもない釘。 無理に建築したのだろう、何重にも重なる階段。 ひとふた世代前から変わらずそこにいるのであろ…

カムバックトゥ

5月7日。ゴールデンウィーク最終日。 ゴールデンウィーク最終日とはいっても、私は特に人と会う用事があるわけでもなく、いつもの日曜日を再現していました。 昼過ぎに起きて、地元のそれほど大きくない神社に参拝して、カフェで本を読んで……。 でもなんか今…

コーベイイマチ

5月2日。兵庫県立美術館に来た。新宮晋さんの作品を見るためだ。もちろんひとり。たっぷり作品を堪能して、グッズやお土産なんかも買っちゃってちょっといい気分。 新宮晋さんといえば、風の彫刻家って言われるような人で、絶えず動く彫刻を見て、「あ、風っ…